脳筋(褒めてる)が自分の感覚論で語るしかなかったパドル力については
フォーム云々の議論が殆んどで、力学的な考察がロクにされていなかった。
今回はまずそこにメスを入れ、パドル力がある状態の定義を試みる。
また効果的なパドル力アップの方法についても考察する。
①パドル力とは何か?
一回のパドルで手や腕がキャッチする水の量を数式上2Lと仮定する。
ノーズからテールまで腕を漕ぎきるのに1秒かかり
水をストロークする距離を1mとする場合
2kgの重量×1mの距離/1秒=2重量キログラムメートル毎秒という単位になる。
これを国際単位系(SI)で表すと2x9.80665=19.6133W(ワット)となる。
ようするに満タンの2Lのペットボトル相当の重みをパドルで感じながら
1ストロークを1秒間隔で行っている時の人間のパドル力は19.6133Wなのだ。
これは乗っている板が長かろうが短かろうが
板のパドル速度が速かろうが遅かろうが
乗っている人が若かろうが年取っていようが
2Lの水を毎秒1mで動かしている限り一定の数値である。
という事でパドル力とは何かというと
パドリング時に人間単体で出力可能な力
(W)の事なのである。
ふ~、長年の疑問にようやく終止符が打てたw
数値化しないで個々の感覚だけで語っても、
それぞれの能力の行間が読めないと伝わらないんだよ。
では次にテイクオフの時に速いパドルが必要とする。
先ほどは片腕で2Lの水を1秒かけストロークしていたが
同じ1秒の間に右腕、左腕と2ストロークしたとすると4Lの水を移動したことになる。
この場合のパドル力は先ほどの2倍となるが、数式で言うと
4kgの重量×1mの距離/1秒=4x9.80665=39.2266W
”ゲディングアウトの時は20Wの出力で
テイクオフの時には40Wの出力を出してます ”
こう表現すると非常~に分かりやすいのだw
②人間と板は切り離して考える
ロングには乗れるけどショートではテイクオフ出来ない人というのは
ようするにパドル力のW数が低いからである。
逆に言うと少ないW数で速い速度が出せるロングボードは
パドル力の変換効率が高いと言える。
例えばショートで20Wのパドリングだとセクション移動しか出来ないとする。
ロングでは浮力があって板の幅も広く、板の下まで腕が回らないので
一回のパドルで1Lしか水をキャッチ出来なかったりする。
しかし板が長くて造波抵抗が少ないから1秒で2ストローク出来るとすると
パドリング出力は同じ20Wで、テイクオフまで余裕で出来てしまうという具合だ。
ロングボードに乗り換えたから人間のW数が上がるわけでは無いので
パドル力向上を目指すなら人間側の出力を上げる必要がある。
ではどうすれば良いか?
➂筋肉への出力を決定するのは脳である
例えば満タンの4Lの焼酎ボトルを片腕で1秒に1m持ち上げるとしよう。
必要な出力は先ほどのテイクオフの時と同じ39.2266Wとなる。
それを繰り返した後、
空と分からないよう偽装された同じサイズのボトルを持ち上げてみると
物凄いスピードですっぽ抜ける筈だwww
これは先ほどと同じ約40Wの出力を脳が片腕にかけたので生じる現象であって
別に片腕が急速に筋肥大したからではない。
これと同じ現象はパドルグローブを使えば容易に体験できる。
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パドルグローブを使った後素手でパドルするとやけにパドルが速くなるのは
脳がパドルグローブの時と同じ出力の指令を腕に与えているからである。
しかしこの脳が大変厄介である。
最初は軽々と進んでいた腕もやがていつものパドルと同じ程度のスピードに落ち着く。
負荷に慣れれば脳はそれに十分な出力しか与えないようセーブするのだ。
これは故障やエネルギー切れを防ぐ体の保護機能の一つとも言えるが
パドルが遅くなる→波に乗れないという悪循環の原因でもある。
なので
いつも同じ板で同じようなパドリングをしていると脳が慣れてしまうので
それだけでパドル力が劇的に向上する事は難しい。
④スピードを体に覚え込ませる
スピード=出力であるので、スピードを出している状態を体に染み込ませれば
脳がそれに応じた出力を与えやすくなるという狙いである。
野球のバッターが重いバットの後いつものバットを使ったり
逆に軽いバットを使って速いスイングを心掛けるのも
体により速いスピードを覚え込ませる為である。
また自転車選手がローラーで疾走したり車に引っ張って貰って
単独では出せないスピードまで足を回し切るのも同様の為だ。
なのでパドルグローブを外した後はパドルのスピードを出し切るようにすれば
そのイメージが体に染みつき後々に再現しやすくなる。
➄追い込みも必要である
脳からの出力が上がっても実際の筋肉も増大した方が
常に安定して高出力を出しやすくなるのは言うまでもない。
ラウンド終わりに良い波乗ってそのまま岸まで上がるのは理想だが
そこで終わっては筋肥大は無いwww
筋肥大を目指した筋力トレーニングでは、バーベルやマシンを利用して高重量のものを持ち上げ、筋肉に高負荷をかけることが必要とされていました。しかし最近の研究で、筋肥大に効果的な方法は、1回にあげることができる最大重量(1RM)の70~85%程度の重量で6~15回行うことを1セットとし、これを数セット繰り返すこと、さらにそのセット間のインターバルを短縮することだとわかりました。
大きな筋肥大・筋力増強を目指すには、少なくとも65%1RM以上でのトレーニングを行いましょう。
筋肥大とは。トレーニングでより太くたくましく! | POWER PRODUCTION MAGAZINE(パワープロダクションマガジン)
つまり翌日に海に入らない事が確定しているのであれば(筋肉の休養の為)
海から上がる前に負荷を掛けた状態でのパドルを
テイクオフ時のスピードで15回1セット、インターバルを短めに数セットやれば
効率的なパドル力向上が狙えるってわけ。
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